大量に床上浸水した場合の処理例
大量に床上浸水した場合の処理例
2012年04月16日
人生 震災 浸水対処
被災は突然だし未経験だと対処法がわからず、慌て、絶望感に陥ります。例を知っておくだけで希望が持てると思うのでご参考までに体験と、気づいたことを書いてみます。ゲリラ豪雨で地域の河川が決壊したときの体験です。津波とは違いますが、日本はうちが経験したような河川の洪水も多いと思います。在宅中に決壊したら、という例です。一生、被災の順番が来なければそれにこしたことはないですが。
道路から、さあさあ水が流れてきた時点では、大半の人は床下浸水で済むと思い、玄関に鍵をかけ、たたきから靴を上げます。畳をあげようとする人もいます。余裕があるなら、いろいろなものを2階に上げればいいと思いますが、浸水が床上になってきたら、もう安全が最優先です。
◆避難する時
みるみるうちに水位が上がってきたら速やかに2階に避難です。
長靴、水、食べ物、懐中電灯は持って上がりましょう。持病のある人は薬を忘れずに。携帯電話とラジオも。
サイフや通帳も、かな。(避難所に行かされるかもしれないから)
冷蔵庫が浮かんで倒れ、その他の家具も家の中を泳ぎます。
けがをしないように。転ばないように。
床上150センチの浸水でも、テーブル状のものはぷかりと浮かんで退水後平らに着地するため載せておいたものは結構助かります。
◆避難中
うちの場合は午後1時少し前に浸水が始まり、ひいたのは翌朝です。電気がつかず、夕食も取れないまま夜を過ごしました。
湖を舟で漂流しているような不安に襲われますが不安がっても仕方がないので、家は大丈夫と思い込みます。
レスキューの人がボートで回ってきたら指示に従いましょう。
(「食べ物はありますか」「ありません」「がまんできますか」「はい」「じゃあ、がまんしてがんばってください」という会話をして、ボートは去っていったっけ。)
誰もこなければ、2階で水がひくのを待ちます。
2階も水没したら屋根に上がることになるでしょう。
滑らないように。体を冷やさないように。
雨はまだ激しく降っているはずです。。
むやみに階下に様子を見に行くのは危険です。
まして外には出られません。道路は濁流渦巻く川と化しています。
◆水がひいた直後
・作業開始の前に、まず何か食べて、落ち着きます。
・ボランティア体制が立ち上がるのは数日後ですが必ず動き出すので人出は大丈夫。希望を持ちます。お金で手伝いを請け負うビラが入ってくるかもしれませんが頼まなくて大丈夫です。
・貴重品を探しだして2階に上げます。
↓
・家具を表に出します。(ただし、盗難注意です!! 特に夜。)
作業の必要上、屋内をできるだけ空っぽにするわけです。
家具以外にも、ひたすら、物を表に出します。
本、座布団、泥を吸って馬鹿みたいに重くなっています。
たたみは言うまでもありません。
ほとんどの物はもう使えませんから愛着があっても思い切って捨てます。
家具は洗って乾かしても後で狂い、カビたり腐ったりします。
写真は助かるそうですが、半分色がとけだしています。
取っておきたくても、作業上、置く場所がなくなるので捨てられるものは捨てられるときに捨てたほうがいいです。。
・水道が出ればホースをつないで泥がやわらかいうちに流し出します。
(水がきれいで、汚い泥が少なければ、これで終わりにする地域もあるようです。後で十分な消毒・乾燥が必要です。)
・被害状況を見て、建て替えるか、改修するか検討します。
◆改修の場合 泥上げ
【泥の堆積が大量の場合は必要です。でも、最重労働です!!】
・泥に漬かった床板と壁は、劣化します。腐食とカビ。
匂いもします。床下の汚泥の除去もしなくてはならないため大工さんに床板と壁を剥がしてもらいます。 →当分、1階に床がない生活となります。
・床下と壁の中にたまった泥を土嚢に詰めては表に運び出します。
屋外もです。敷地面積すべてに泥が堆積しています。
初めは田植えどきの水田状です。うちは屋外に40センチ厚で堆積していました。長靴で踏み込むと抜けづらいったらない。
数日たつと水が抜けてかさが減るので、それを待ってもいいと思います。とりあえず、戸口から道路までの通路を確保します。
・袋にいれるとき、通常はシャベルやスコップで泥をすくいますが、一人で作業するときは、十能(灰や炭をかく小さいスコップ状の道具)が便利でした。片手でふくろを拡げ、利き手でえっさほいさとすくっては入れる。
マスクは必ず。服はものすごく汚れます。
床板が剥がせないところは潜り込み、腹ばいで作業します。
泥は半端なく重いので土嚢を運ぶのに腰を痛めないようにします。
・夜明けから日没まで延々です。毎日毎日、作業します。
終わるまでの辛抱です。ひと月はかかると思います。
やれば終わります。「千里の道も一歩から」ということわざを呪文のように唱えていると、そのうち、終わります。
(昔からたくさんの人がこのことわざを唱えながら、途方もない作業に取り組んできたんだなあと考えると、このことわざを伝えてきた昔の人びとの励ましまで感じて、じいんとします。)
「エジプトはナイルの賜物」も、私には良い言葉でした。
・泥の除去が終わったら、消毒です。うちは、自治体から配布された石灰を撒きました。
◆後は、大工さんと内装屋さんなどのお世話になります。
床張りと、壁張りです。
・不便な2階暮らしがまだ続きますが、希望を持って過ごします。
・費用の心配もしなくてはなりません。国と県から補助が出ますが改修費用総額には全っ然足りません。
・元通りにはなりっこないので、元通りにしようと思わないほうがいいです。新しくなっていくのが励みです。
もしもこれをお読みくださった方が被災なされていた方でしたら心よりお見舞い申し述べたく存じます。
どうかお体に気をつけて、無理のないようにお過ごしください。
甘えられるところは人に甘えましょう。
以前の災害のおかげでボランティア制度が機能したりガス管が改善されて地震時の火災の発生が防げたりなど、していることを実感すると、過去の教訓が生かされている国なんだと思えます。
同時に、過去に被災された方々の苦難が思われます。
本当に皆さま、いろいろ、お疲れ様です。
被災でたくさんの方にお世話になりました。
ボランティアの皆様には泥上げや洗い出しを手伝っていただきました。
各方面から支援物資や募金をいただきました。
いつまでもいつまでも、ありがたいです。
せっかく助けていただいたのに7年後、二男は自分で死んでしまいました。
それも申し訳なく、情けなくてなりません。
被災時、中学生は帰宅できず、一晩、中学校で過ごしました。
机は1階にあったので、あの人の持ち物も壊滅だったなあ。
……可哀想に。