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胃腸炎と五苓散

コラム2020 02 22

感染性胃腸炎流行しています。この時期、嘔気、嘔吐があって下痢を伴えば、まず感染性胃腸炎と判断していいと思います。

原因となるウイルスではノロ、ロタが強い症状を引き起こすとして知られていますが、ほかにも同様の嘔吐下痢症状をおこすウイルスはあるので、検査をしてウイルスを調べること自体にはあまり意味はありません。
 病態的には東洋医学的には水毒状態としてとらえています。噴水状の嘔吐は水逆の嘔吐といいます。西洋医学的に病態を説明すれば、ウイルスの感染により胃腸の機能が停止し、水分の吸収ができなくなるため、腸にたまった腸液はそのまま下痢となり、胃液がたまると噴水状に吐いてしまうことになります。当然脱水状態になってのどが渇きますが、水分をとれば、ふたたび吐くだけですのでさらに状態は悪化してしまいます。
西洋医学的には、吐き気止めや下痢止めは効果なくかえってよくないので、もっぱら対症療法的に点滴などで脱水を予防しながら自然に回復するのを待つしかないとなっています。 また「ウイルスに効く薬などの特効薬はありませんので、手洗いうがいなどの予防が一番大切です。」とテレビなどで権威のある先生が解説しているのを聞いたことがあると思いますが、これは間違っています。
自然経過では2.3日は苦しむことになります。予防といっても、家族の中の一人発症すれば、感染力はとても強いので、防ぎきれるものではありません。

 この状態にたいして五苓散という特効薬があるんです。薬局でも普通に購入することができますし、医療機関にもあります。外来においては最初の一回は吐き気があるため微温湯(10㏄ほど)にとかして注腸し、点滴をしますが2時間後くらいにはもう効いてくる場合がおおいですし、その後翌日にはかなり改善しています。
 個人の医療機関でも、救急外来においても非常に威力を発揮する治療方法であり、漢方医に限らず、おおくの医療機関に当たり前にひろがってほしいのですが、感染症の専門医はまったく無視で広めようとするつもりもないようです。どこか糖尿病の食事療法としての糖質制限のあつかいと似ている状況のような気もします。
 詳しいことは、(感染性胃腸炎、五苓散)としてネットで検索してみればわかるはずです。小さいお子さんのいる家庭にかかわらず、絶対に必要な知識です。五苓散のあまりの即効性と効果に驚いて、本格的に漢方をみなおして、漢方の勉強を開始するきっかけになる先生もおおいのですが、僕もその一人でした。

 

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